木胎


木胎 -胎について(1)

ろくろで木地挽き

胎(参照:漆芸用語集)の作り方は様々ありますが、木胎は漆工芸で最も一般的な胎と言えるでしょう。

木は古来から日本の建築や家具、食器や小物、あるいは燃料とあらゆる場面で使用されてきました。漆工芸においても木が最も一般的な素材であるのは当然のことかもしれません。

漆器で木が多く使われる理由は幾つかあります。

  • 日本では容易に入手できる
  • 加工が比較的容易
  • 軽くて丈夫
  • 熱伝導性が低く、熱いものを入れても手や唇に伝わりにくい
  • 風合いが良い、ぬくもりを感じる

こうした優れた機能がある一方、白木のままでは食品が染み込みカビが生えやすいという欠点もあります。その欠点を補う上で、漆は木胎と非常に相性が良い塗料です。

漆は一度固まると水を通さず、また非常に腐りにくいという性質があります。9000年前の縄文時代の遺跡から漆塗りのくしが出土するのも、その性質があるからこそと言えます。

世界で最も木の文化が発達していると言っても過言ではない日本。その日本で漆の文化がこれほどまでに発展したのも必然と言えるかもしれません。

材木の乾燥-材料について(1)

乾燥中の材木1

乾燥中の材木

材木が使えるようになるまで数年かかる

〜生木は歪む〜

漆器の最も一般的な(器などを形作る部分)の材料は木です。

木は、切り倒したばかりの生木の状態ではかなりの水分を含んでいます。水分は次第に蒸発し、その過程で材木が歪みます。生木をろくろなどで整形しても、しばらく置いておくと歪んでしまい狙った通りの形の胎になりません。


乾燥中の材木2

材木の木口に和紙を貼って乾燥させる

材木を乾燥させる

整形後に歪んでしまわないように、材木は風通しの良い日陰で2〜3年乾燥させます。木は木目の具合によって歪む方向が異なるため、木目の揃っていない広葉樹はヒビが入ってしまうことがよくあります。ヒビ割れを防ぐため、木口にでんぷん糊で和紙を貼っておきます。

紙では破れてしまうように感じますが、これが伝統的なヒビ割れの防ぎ方です。


粗削りした材木

粗削りした材木

粗く整形してからもう一度乾燥

材木を乾燥させても安心はできません。大きな塊の材木は、場所によって歪みが異なります。そのため乾燥後でも、一部を削ると新たな動きが始まります。非常にゆっくりとした動きですが、1年、2年と経つうちに目で見てわかるくらいになることもあります。

目的の形に粗削りし、歪みが止まるまでまた数年寝かせます。時間のかかる作業ですが、材料から丁寧に作り込むことを大切にしています。